3012月

title:田口良一直前インタビュー

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――今回は2度目となる民放・ゴールデン枠での試合です。昨年8月の前回は王者としての試合でした。

「怪物チャレンジ”みたいな試合だったことは自覚しています。井上選手は自分と戦う直前の佐野友樹(松田)戦でも、付け入る隙の残っている選手だと思いました。特に左フックと右ストレートを打つとき」

――井上選手の二大必殺パンチですが。

「強いパンチだからこそ、英才教育で磨きあげても、隙がありそうだと思いました。そのタイミングで左フックを当てる。下馬評が不利な試合ですから、リスクを背負うことにためらいはありませんでした」

――高等技術ですが結果は?

「当たりました。でも、首を背けて威力を殺されちゃって。しっかり当てたパンチは右ストレートが多かったです。あと今は、お互いの世界戦が近づいているので、スパーリングもやったんですけど、自分がやった時より強かったです」

――井上戦の活躍は今回の世界戦実現につながりました。

「判定を聞いた直後のリング上で、渡辺会長が“いい勝負をしたから世界戦をやらせるからな”と言ってくださったんです」

――そのために2014年7月、世界ランクに再び入るために元IBF世界ミニマム級王者のフローレンテ・コンデス(フィリピン)戦が組まれ、第2ラウンドのダウンから挽回して切り抜けました(判定勝ち)。

「あの試合、以前の自分なら乗り越えられなかったと思います。コンデス選手はこちらのパンチが効いたときに、効いていないふりをするのに、効いていないときにフラつくんです」

――その意図は?

「遠い間合いで戦う僕を接近戦に誘い込むためだったと思います。フラついたら、採点で不利になるのは確実なので、普通はやらないですよね。でも向こうはアウェイ慣れをしているから、ホームタウンデシジョン上等って感じで自由に戦っていました。これに騙されて距離を詰めたら、いきなり元気になって左フック」

――それでダウンですか。

「今までもらったパンチで一番効きました。というか記憶が飛んだんですけど、井上戦前より僕も強くなっているから、あそこから盛り返せたんだと思います。」

――試合が近づくと不安になるそうですね。

「はい、滅入りそうになります。でも第三者からは“肝っ玉が据わっている”といわれます」

――担当の石原雄太トレーナーは、田口選手はハプニングにも動じない人間だと。

「2010年の大内淳雅(角海老宝石)戦で、シューズが滑って動けないときがありました。3回にテーピングを巻いて何とかしましたけど、それを言っているんだと思います。でも、実際は動揺しましたよ。」

――今回対戦する王者のアルベルト・ロッセル選手(ペルー)はパンチをしっかり伸ばしてくる。これは田口選手と長所が被ることになります。

「しかも僕と違ってパワフルです。そうなると最低限、ヒット数では上回る必要が出てきます。中間距離でのせめぎ合いになると思うんですけど、僕が好きな展開でもあるんです。お互いが求めている場所がかなり似ている。だからあえてこれをずらして近距離を狙ったり。先手を心がけます」

――今回、唯一の挑戦者ですが、内山選手、河野選手に並びたいですか。

「はい、勝ったら人生が変わると思っています。アルバイトで生計を立てるいちボクサーから、日本のボクシング史に残る名選手への変貌を狙っています(笑)」